2013年3月30日土曜日

ソネンさん、MMAレスリングの奥義を語る

<訳者より>
今回の記事は非常に価値のあるものだと思います。MMAファンだけでなく、これからMMAに転向したいと思っている人や、すでにMMAに転向した人にとっても極めて重要な示唆に富んだ内容だと思いますので是非読んでみてください。オススメです。
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 テクニック・トーク チェール・ソネンが語る、MMAレスリングで成功を収めるためのシンプルさとは
記者  Luke Thomas

Silva vs. Sonnen

MMA fightingより
画像はUFC公式より

基本的な質問から始めよう、優れたMMAレスリングは何によって構成されているのか?エリート・アマチュア・レスラーという肩書きはMMAの成功を何ら保証するものではない、それでもMMAを通してレスリングを学ぶのには最高の経歴であり、歴史的に見ても何よりも役立つのは広く認められていることである。言い換えれば、レスリングのスキルが必須だからといって、彼らが必ずしも成功するとは言えないのだ。

MMAでの成功を約束する特定のバックグラウンドやスタイルというものはあるのだろうか?純粋なレスリングはMMAにおいてどれだけ価値があるのか?MMAで全くレスリングの経歴が無い者にとって、レスリングの能力を獲得するにはどのような方法がベストなのか?

チェール・ソネン、レスリングのNCAA-オールアメリカンの時と同様、UFCミドル級からライトヘビー級に見事に転向した男は、このインタビューで詳細に語ってくれた。なぜしばしばエリート・レスラーが彼らの技術を転用する際に困難に陥るのか、MMAにおける現在のレスリングの位置づけとはどのようなものなのか、エリート・レスラーがMMAファイターに転向する際に最も適したキャンプはどこか、レスリングのどのスタイルが実際の試合に最も適応しやすいのか、単純だが非常に効果的なレスリング・ゲームが全ての人にとって必要なのはなぜなのか、他多くのことを語ってくれた。

全音声と文字起こしは以下。
(動画リンクはこちら)

記者ルーク・トーマス:

ある選手のレスリングの経歴のレベルと、MMAでレスリングを用いて到達したレベルの間に相関性が無いのはなぜでしょうか?だからたとえば、オリンピック選手やそれに類するような人たちで彼らのMMAレスリングが「はぁっ!?」というような場合があったり、D-Ⅱプログラム出身の人が私たちの度肝を抜くような場合があります。なぜこういうことが起こるのか、あなたはどう考えますか?

チェール・ソネン:
一部のMMAファンの間には、レスリングとは何かということに多大なる誤解がある。私が知るレスリングの一要素であり、私たちが最も重きを置いて鍛えたのはテイクダウンだった。だが、オリンピック選手権ではテイクダウンを一切取らなくても勝つことが出来る。そして私はMMAファンがそのことにさえ気づいているかどうかわからない。NCAA選手権で一度もテイクダウンを取らなくても勝つことはできる、そして実際にそれはかなりよくあることだ。文字通り一度もテイクダウンで得点しないのも可能だ、また文字通りテイクダウンで一度も得点がないということは早々あるものでもない。しかし、それに重点を置かないということは極めて一般的なことだ。

だから私が言いたいポイントは、ある者がレスリングマットの上で素晴らしいレスラーとなり、多くの証明書をひっさげてくることはできる。実際、たった今キューバのファイターでヨーエル・ロメロという選手がいて、私の知る限りにおいてその世代の中では最も優れたレスラーだ-カエル・サンダーソン、レス・ガッチェス、ヨーエル・ロメロの世代の中では-だが、彼はテイクダウンではあまりスコアを獲得しなかった。彼はティルツ・アンド・ターンズ、そしてトップでのディフェンシブなテクニックでポイントを取った。

(参考動画 ティルツ・アンド・ターンズ)



なので彼がMMAの世界に入ってきた時、それは彼がトップになれるということを意味するものではないし、そしてそれこそが本当に多くの人が誤解していることだ。

それは私の二つ目の質問に関連するのですが、『MMAにおいて最も価値のあるものは何か?』ということについて実際のところどうなのでしょうか?もしあなたがホジャー・グレイシーに聞けば、彼はこう答えるでしょう、BJJの技術の多くは-スポーツBJJは-価値が無い類のものだと。たとえば本当のスパイダー・ガードのように、ギ(胴着)を握る必要があるようなものは。他にもあります。X・ガードは、優れたバランスを持つ選手ならば上を取ってパウンドを落としてくるでしょう。だからレスリングはどの程度‐純粋なレスリングは‐MMAの文脈では役に立たないものなのでしょうか?

私が言えるのは、使えるテクニックはわずかに二つくらいのものだろうということだ。本当にたかだか二つ程度だ。今のは派生したものは省いてあるが、それでもこれがMMAになるんだ。これが皆の求めるものだ、どの(コンバット)スポーツでもだ、反則行為をしたいのなら、MMAでは何でもやりたいことができる。完璧な例としてはダーティ・ボクシングだろう。ボクシングマッチにおいて、相手の首根っこを掴んで空いてる手で相手を殴ることができない理由はなぜか?それが非常に効果的だからだ。だからそれを反則にしなければいけなかったんだ。レスリングでも多くのロックの仕方が同じことで、レスリングにおいては手を組み合わせてロックすることは許されていない。その理由は、もし手を組み固めてしまったらもう一方の選手はずっと逃れられないかもしれないからだ。そうなったらレスリングは最初にそのロックを仕掛けた奴が勝つような戦いになってしまうだろう。

だから反則行為を見つけだして、すぐにそれを実際に使い始めたいとして、その行為がMMAでは正式に合法だと認可されているのならば、すなわちそれは最も効果的だ。グレコ‐ローマンレスリング、私がやっていたものだが、頭を使ってブロックすることは認められていなかった。もしさる紳士が頭を押し当ててきたら、すべての攻撃はシャットダウンされてしまう。そしてそれは当然やったら反則な行為とされてしまった。私は自分が戦ったある男を知っている、名前はマイケル・ビスピンと言うのだが、彼はこれっぽっちもレスリングが出来ないのだ、しかし、彼は私が一生を通じてやったら反則行為ですよと言われて育ってきた頭という部位を押し当て、1ラウンド丸々全部自分を封じ込めてしまったのだ、私がそのことを理解できるまでだ。

君の疑問に答えていることを望むよ。君はホジャー・グレイシーのコメントを持ち出したが、そうだ彼は今のUFCでは最も素晴らしく、震え上がるようなサブミッションを使う奴だ。だがもし私があと二つ以上の要素を持ち込むことが出来たら、彼を完全に封じ込めてしまうだろうね。彼は相手のバックを取るのが好きで、そしてチョークで試合を終わらせようとするだろう。もしあれを持ち込むができたら、彼は本当に制限されてしまうだろう。しかし偉大なファイターとはわずかに一つか二つのことに秀でているだけなのだ。

ということは特に価値があるものとは?

レスリング・テクニックでいえば、もし体に組み付くことができたら、これはアンダーフック・ポジション(脇を差している状態)を取ることを意味してるのだが、そこから自分の手をロックすることができるし相手の体をコントロールすることができる。これがナンバー1だろうね、それか相手の頭をコントロールすることかな。そして私が「ボディ」と言う時はもちろんそれは相手のお尻のところまでのことだし、世間の人が言うところのダブル・レッグ・シチュエーションという奴だね。MMAにおけるダブル・レッグはレスリングでやるのとは完全に別物だ、なぜなら姿勢が別物だからだ。真っ直ぐに立っているのに対して屈んで体を折り曲げているし、パンチをかわすのに対してレスリングでは相手の肘を掴み、伝統的なエルボー・プルかスライド‐バイをするからだ。

だからレスリングで本当に役立つことはたったの二つだけだ。レスラーはMMAで活躍することが多いが、それはただいくらかタフな連中である場合が多いというだけのことで、パンチが空を切る中で成長する空手のシチュエーションとは違う。レスリングのシチュエーションでは選手は毎日他の誰かを掴み押さえ込んでいる。空手の選手はグッド・シェイプで荒事に慣れており、長時間続けることに慣れてるし、出場したときに怪我をしたり傷つくことにも慣れているし、それら全てはとてもいいことだ。レスラーはそううまくいかない。なぜならレスリングのテクニックは他のテクニックよりも優先されてしまうからだ。

私はわずかにレスリングをやっていましたが、それはとてもお粗末なものでした。私はただの趣味人で、だから私はとてもアマチュア的な立ち位置から話しています。しかし私の有利な位置からすれば、自分にはMMAレスリングの位置づけはMMAにおける柔術の立ち位置と同じように見えます。というのも柔術は選手たちがオフェンスよりもディフェンスにおいてより優れているといえるからです。人々はいつもジョルジュ・サンピエールは素晴らしいMMAレスラーだと言いますが、彼はテイクダウンを実行できる数少ない選手の一人というだけです。優れたMMAレスラーについて考えるとき、そのほとんどの場合はジョゼ・アルドのような選手のことを考えます、彼はただリンプ・レッグス(シングル・レッグのディフェンス、足を引きずって抜く動き)でシングル・レッグから逃れ、ダブル・レッグの試みから逃れるだけです。この特徴にご賛同いただけますでしょうか?

RIO DE JANEIRO, BRAZIL - JANUARY 14:  Jose Aldo(L) knees Chad Mendes (R) in a featherweight bout during UFC 142 at HSBC Arena on January 14, 2012 in Rio de Janeiro, Brazil.  (Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

まず一つ目に私が気に入らないのは、どうして君がそんなにへりくだった質問をしたのかということだ、私は君たちリスナー全員に主張させていただきたい、ルーク・トーマスは私があらゆる角度からMMAを理解しようというときに一緒に仕事をして、かつてないほどの重圧を感じてきた偉大なる精神の持ち主だ。そして彼はしばしば自分自身をひどく追い込みたがるようなときがあった。しかしそのことで沈み込むようなこともなかった。この男は天才だ。

二つ目に、諸君、ジョルジュ・サン・ピエールは一つのレスリング・テクニックを持っている、ジョルジュ・サン・ピエールは押したり引いたり殴りつけたり相手と組み合ったりなんてできやしない。彼は一つテクニックを持っている、それはダブル・レッグだ。もしそのダブル・レッグを無しにしたら彼はあのポジションを取るためにだいたい三つの異なった体勢をとるだろう、そして彼が試合に臨む時、相手の行動次第で大体六つの異なったフィニッシュをするだろう。私はMMAにおいて彼をベスト・レスラーと呼ぶだろう、しかしまた私は別の場所で、「ジョルジュはレスリングのことについてはごくわずかにしかわかっていない。」と言うだろうね。もしレスリング・マッチに参加したいのなら、ジョルジュはコーチやトレーニングをしてもらうには相応しくない男だ。

だが彼は研鑽を積み一つのポジションを極めた。繰り返すが彼はおよそ三つの体勢と五つのフィニッシュを持っている。彼は超人だ。私は彼がジョシュ・コスチェックのような男を乗り越えてきたのを見ているし、その光景はまったく信じがたいものだったよ。だが繰り返そう、それはたったひとつのポジションによってだ。君達には覚えておいていただきたい、本当に優れた者とは、偉大なる者とは、たった一つか二つのことをうまくやるのだ。マイク・タイソンはアッパーカットが使えただけだ、しかし偉大なる者とはたった一つか二つの道具だけしか必要としないのだ。

見渡してみれば、皆レスリングを練習していますが、彼らはテイクダウンを仕掛ける者に対して、それを止めることばかり巧くなっています。これにはご賛同いただけますか?

100パーセント、完璧にそのとおりだ。その理由はレスリングにある。もし私がレスリングの練習に行き、ずっとレスリングの練習をしたとする-私の地元の大学でレスリングをやったとする-しかし私は100の異なる動きに出くわすだろう。それはレスリング・デイの一部分にすぎない。このポジションを取ろうとする、そしてこのポジションを使って巧く動こうとする、そしたら100くらいの異なった動きに出くわすことになるだろう。MMAにおいてはたった一つか二つのそういう動きがあるだけだ。だから防御的な姿勢から、レスリングを止めるためのレスリングを学なくてもいいのだ。ダブル・レッグを止めるための素早いスプロールだけを学べばいい、たぶん他にも必要かな。ホジャーが言ったようなものは全部切り捨てられるんだよ。

そのためにいいベースはありますか?そしてこれが私が言いたいことです。ヘンリー・セジュードはMMAで我が道を行こうとしているし、心情的には彼のあり様も理解できますが、しかしもしスカウトに彼のレスリングのやり方を見てもらうように頼んだらどう言うでしょうか-彼は競技的だし、彼は素早いし、彼は素晴らしい動きをしている、豪快な投げもあるね。さて、これらの要素を思い浮かべてみて、MMAでの成功に結びついたでしょうか?

その望みは極めて少ない。もしヘンリー・セジュードが株だったら、私はその株に大量に投資していただろうね。彼の仕事理念、競争能力、駆け引きの巧さ、マットでのコントロール、これらのことはうまく機能すると思うだろう。だが違う、これらのテクニックを目にすることはないんだ。

ここで完璧な例を紹介させてくれ。この国で、グレコ‐ローマンレスラーはまずフリースタイルをやらない。フリースタイルができなかった奴らがグレコ‐ローマンに行くんだ。今私はグレコ‐ローマン・ガイだし、それが本当に真実であると君に直接教えてやることができる。だが、フリースタイルの選手としてより優秀なアスリートになればなるほど、より優れた選手からは遠ざかり、素晴らしいテクニックから離れていくことになるのだ、グレコ-ローマン・レスラーはMMAにおいてはいつも彼らよりうまくやってきた、ランディ・クートゥアからダン・ヘンダーソン、マット・リンドランド、そして私だ。私達はいつもフリースタイルの連中よりも成功を収めてきたが、彼らも私達も誰一人としてそれが何故なのかはわからなかった。

私はその理由の大部分が姿勢によるものであることを主張したい。ヘンリー・セジュードと出くわしたら、彼は体を折り曲げて屈んだ状況にいるだろう。彼は腰を曲げて後ろに引き、頭をマットのほうに下げた状態を維持するだろう。グレコ-ローマンの場面では真っ直ぐに立って高くしたり低くしたりするが、それはMMAやボクシングの場面で使う姿勢と同じなのだ。そしてフリースタイルの連中は多くが相手の攻撃を外し、足か尻を取ることにばかり精を出すが、それは彼らが屈んだ状態でそうやるのに非常に慣れているからで、それに対してオクタゴンでは真っ直ぐに立つことを強制されてしまうんだ。

ジョーダン・バラフスや、ミスター・アンクル・ピックことケール・サンダーソンなどの選手はどうなると予想しますか?



繰り返しになるが、ケールはMMAでは絶対にアンクル・ピックを取れはしないだろう。それはまずうまくいかないだろうね、掴むための靴が無ければ機能しないだろう。彼は滑ってしまうだろう。ツルツルした足首で滑って外れてしまうだけだろうね。君はアンクル・ピックを持ち出したが、そのことが出たら私はまたヨーエル・ロメロのことに戻らなきゃならない。君達リスナーのほとんどが彼が誰なのかを知る気もないだろうが、しかし私はちょっぴりファンなんだよ、なぜって彼は私と同世代だからね。

(参考動画 ケール本人によるアンクル・ピックのデモンストレーション)


彼もまたストライクフォースで戦い、彼はフェイジャオ・カバウカンチに負けています。

彼がフェイジャオに負けたのは事実だ、そうあれは結局のところフェイジャオがコミッションのお役所仕事に助けられた試合だったが、しかしヨーエルは見事に生き残った、負けはしたけれども‐彼はストライクフォースで0勝1敗で‐彼はUFCに移籍した。彼はデビュー戦を控えている。

だがポイントは、そうだ、あれらのテクニックは使えないだろう、ジョーダン・バロフスのダブル・レッグですらな。MMAでダブル・レッグが使えるだろうか?もちろん、恐らくだが、最も効果的で、MMAで高確率のテイクダウンだ、しかし彼の体勢ではうまくいかないだろう。彼は体を折り曲げないだろうし、アーム・ドラッグをしていないだろうし、マットに両膝をついて、その状態からマットを蹴って飛びつくようなこともないだろう。彼はダブル・レッグをアップライト・ポジションからやらなければいけなくなる。ジョーダン・バロフスのダブルレッグは全て彼の頭が相手の頭の下にある状態からスタートする、そしてそこから彼は上に向かう動きに移行するんだ。彼は自分の頭が真っ直ぐ起きていて、そこからダブル・レッグをやるために下に向かっていく動きに適応しなければならないんだ。

(参考 ジョーダン・バロフスの高速ダブル・レッグ)



彼にそれができるだろうか?ああ、彼はきっとせいぜい数ヶ月でできるだろう、だがMMAは今も変わり続けている。同じ状態じゃないだろうし、それはケールだってそうだ。ケールの最大の得点テクニックはオクタゴンでは機能しないだろう、だが、ケールがリングの中で相手を引きずり倒す方法を見つけ出すことがないとも限らないと思っている。

私が数人のレスラーと話したとき、彼らは私にこう言って来ました、「なあ聞いてくれ、ダブル・レッグはずっと成功率が高いって言うじゃないか、よく知らないが、シングル・レッグ・スウィープよりもだ。でも真実じゃないだろう、だってそいつはマジでレスラーが使う技だぜ。でも自分にはダブル・レッグはレスリングのどのレベルにおいてもより使いやすいツールな気がするんだ。ジョーダン・バラフスのダブル・レッグは大抵のMMAジムの平均的な連中よりもずっと優れているだろうけど、でも彼らはもっとずっとたくさん仕掛けてくるんだろ?賛同するかい?」

ああ!まったく、完全に同意だ!私はMMAにシングル・レッグが存在するのを信じていなかった。私がそれを教えるときは常に相手に自分の足を好きにさせる。皆を自分の周りに集め、彼らを座らせ、彼らは自分がテクニックを披露しているのを見ている。私は相手に足を与え、そして一同に尋ねた、「こいつは私の足を取るだろうか?」彼らは全員ハイと言った。そして私は言った、「よしもう一回見てろよ、彼は私の足を取るかな?」そして彼らはハイと言った、そして私は言った、「もう一度見てなさい、彼は私の足を取るかな?それとも私が彼の両手を取るかな?」そしてこのあたりで皆はようやく理解し始める、シングル・レッグは、みなシングル・レッグは望んでいないのだ、と。自分は満足して相手にシングルを取ることを許可して試合を始める。

私達がツリートップ・テイクダウンかラン・ザ・パイプ(両方ともシングル・レッグの派生の一つ)を見ないのはなぜでしょう。一般的に言われるように、MMAにおいてはシングル・レッグはあまり効果的ではないのでしょうか?

(参考動画 上 ツリートップ・テイクダウン 下 ラン・ザ・パイプ)





本当はそんなことはないし、シングルを取って倒す奴を見ないということはないだろう。私は(勇信)岡見が二度も、本当にわずかにシングルっぽいことをやって、驚くべきことにヘクター(ロンバード)を見事に倒したのを知っている、週末にかけてのことだ。だが本当はあれじゃない。私はランディ・クートゥアがワン・レッグ・テイクダウンに行くのが大好きなのを知っている、彼がヘビー級のときだ。彼は股の付け根の可能な限りギリギリの高さまで入って、真っ直ぐに持ち上げて下に落とす、彼の頭をレバーのように使ってね。ああいう動き方は、自分が思うに大部分はそうせざるを得なかったんだと思う。なぜならあれらヘビー級選手というのは非常に大きいから、彼はただ自分の腕を相手の体に回して包むことができなかっただけなんだ。だがそうだね、皆は本当にシングルを見ることはないだろうね。相手の一方の足にひとっ飛びに組み付くことができる奴じゃなければね。でももし両足とも抱え込めたら飛びつく理由はないね、特に相手を掴み挙げてマットから浮かせるならね。重力に関する単純な物理学の話だ。

あなたが言わんとするのは誰でしょうか、たとえばエディンボロ(大学)出身のクリス・ハニーカットなどがそうだと自分は思っているのですが・・・。

(参考動画 クリス・ハニーカットのカレッジレスリングの試合)



おおそうだね、エディンボロ、うん、彼は今AKAだね。

彼は招集された、そうですよね?人々は彼がD-1でしたことを見ていました。明らかに彼もまた興味をそそられる選手です。しかし私が思うに世間やキャンプは現在こういう選手を見出し、より素早く彼らのような存在を高いレベルのMMAに転向させるのに秀でています。あなたが世の中を見回したとき、誰がそれをうまくやっていると言えるでしょうか?またその理由は?

私には君の質問がどのアスリートがそれをうまくやっているのか、それともどのプログラムが選手募集に優れているのか、どちらを聞いているのかよくわからなかった。だが選手募集は本当に進んでいる‐少なくともレスラーにとって‐AKAはダニエル・コーミエを獲得した、近年記憶にある中では最も尊敬すべきレスラーの一人だ、競技者としてだけでなくコーチとしてもね。モー・ローワルに、ケイン(ヴェラスケス)も手に入れた、彼ももちろんそこの出身だし、ジョン・フィッチに、彼らはコスチェックもしばらくの間獲得していたね、彼らは全員とても優れたレスラーだし、だからこそ他の優秀なレスラーを招き寄せるのも至極簡単なことだったろう。だがわかるだろう、たくさんの連中がいて‐そして彼らは必ずしもレスリングで王者になる必要が無い‐だから私が思うにMMAへの転向はずっと早いほうがより良いのだろう。

もう一度リスナーのために言うが、一度もテイクダウンを取ることなくレスリングの国内王者になることはできる。それは確かにそう頻繁に起こることじゃない、だがそれに極めて近い状態なんだ。一試合で一度はテイクダウンを取ろうとする連中はたくさんいる、だがそれはトップを取って過度のポイントを得て次のラウンドに進むためだ。そしてそれはMMAでは機能しない。テイクダウンを取ろうとする別の連中がいて、それはすべてマットの上でのことだ。彼らは殴り、両膝の上で止まり、素早く這い登って、それからトップに出てくるんだ。MMAのような格闘スタイルのイベントにおいてうまくやれるような類のレスラーは爆発力で潜り抜けられる奴で、マットの上で時間を過ごす必要もないし、対戦相手を殴り、相手の足を外してさっさと上を取ればいい。

そういう理由からあなたはハニーカットがうまくいくと信じていますか?彼はテイクダウンで試合を決める権威ですし、彼は強いフィジカルを持った大男です。

そうだね、彼は大きくて荒々しい男だ、自分はハニーカットの信奉者だよ。私は彼がMMAに来たときはめちゃくちゃ興奮したね。私は彼をここに呼び寄せて引き抜くことを望んでいたんだが、でも彼らがあの男を掬い上げてしまったね、うん、私が思うに彼はうまくいくと思うよ。彼は君が言うように荒くれ者だし、彼は大きな体格を持った奴だ、テイクダウンを取りに飛び込んでいくだろうね。

もう一つ重要なのは彼がトップを取るときのことだ。外国人のレスラーがとてもうまくやったり、チャンピオンでいるのを見たことが無い理由の一つであり‐ヨーエル・ロメロ、もう一度、彼に戻るのだが‐これまで大勢の選手が転向してきた。ウラディミール・マチュシェンコはいい例だろう。彼はオクタゴンの中ではこれっぽっちもレスリングができないが、UFCに所属する選手の中ではもっとも立派なレスラーの一人だ、だが大勢のファンはそのことすら知らなかった。アメリカでは、相手を寝かし続けることができる奴が評価される。アメリカでは、下になった状態から立って離れることができる奴が評価される。だから他の国ではテイクダウンが起こったときに、立ち上がって逃げる努力をしないし、また相手を寝かせ続ける努力もしないんだ。もし倒されて15秒ほどそのままでいたら、レフェリーはトップにいる選手に相手を立たせるよう強要し、それから試合を続行するだろう。

だからこういう外国人選手の多くは、どうやってそれをやるのか知らないんだ。彼らはテイクダウンを取っても、自分のように危機対応をして、すぐに飛び起きて相手の足を取りに行くような選手が相手だった場合、一気に疲れてしまってテイクダウンが役に立たなかったということになるんだ。なぜなら相手を寝かしつけてそれを活かすことができなかったし、立った状態に戻されて疲れてしまうからだ。外国人のレスラーにとってそれが大きな問題なんだよ。もう一つの問題として、もし自分たちが外国人選手をテイクダウンしたら彼らを一日中漬け続けることができるだろうね、私たちが人生の殆どを費やしてきたことこそ、相手を寝かし続けるということだからさ。外国人選手は立ち上がって逃れるということに慣れていないんだよ。

それが理由さ、そう、「もしオリンピックがなくなったら、ロシア人はMMAに参戦するだろうか、ウクライナ人は・・・」って多くの記事で書かれたり(話したり)するのを見かけるね。彼らは挑戦はできるだろう、だが彼らのレスリングのスタイルは馴染まないだろうね。

一般的に、ロシアのMMAへのコネクションはサンボと、わずかに柔道の分野を通してであると言われていますが、彼らは国際レスリングを支配しています。あなたはアメリカン・フォークスタイルは世界共通の一般的なフリースタイルよりも明らかにMMAの本質に近いものであるという考えです。

私はそれは確かだと思っている。国際的なフリースタイルや国際的なグレコ‐ローマンでさえ、それはMMAへの転向に際してあまりにも、あまりにも制限されたものなのだ。そしてもう一度言うが、もし下になった状態から起き上がって離れることができなかった場合、ホジャー・グレイシーのような類のスタイルでなければ本当に大変な危機に陥ることになる、そこがどういう場所か気にしないからだ。そしてもう一つは、テイクダウンを使うのは凄まじい労力が必要ということだ。もし試合でテイクダウン狙いで一生懸命戦うとして、相手が飛び起きて立ち上がってきたら、すぐさま自分のバッテリーは空っぽになって、さあその状態で戦いに戻らなきゃいけなくなる。レスリングでは普段何回か練習することもあっただろう。その激しい練習をやらされるんだよ。それは外国人選手にとって本当に難関となるんだ、それをたくさん見てきたよ。トム・ワトソンはちょうどとても優れた外国人レスラーを倒したけど、彼は相手を叩きのめしたね、でもそれも同じ問題なんだ、私は彼の名前が思い出せないんだが、君なら私が誰について話してるかわかると思う。チアゴ・シウバが彼からタップを奪ったし、トム・ワトソンがちょうどぶっとばした相手だ。

スタニスラフ・ネドコフ

おお、彼は素晴らしい男だ、素晴らしいファイターだ、そして彼は素晴らしいレスラーだ、だが、彼らは変換してないんだよ。それは同じものじゃないんだ。

これが私たちがずっとMMAレスリングと呼んでいるものであり、これこそが私が言わんとしていることです。あなたはダニエル・コーミエがインサイド・トリップ(内掛け)を仕掛けるのを見たはずです、そして時折足を掴んで軸足を蹴り払う選手を見たと思います。しかし一般的に言われていることは、トリップは価値がある、しかしもしそれに過剰に頼る選手をがいたとしたら、たぶんその選手は最高のレスラーではないということを意味するのだろう、ということです。それからデミアン・マイア、彼はトリップを上達させてきました。私は彼に捕まって転ばされずにすむ選手を知りません。あなたはあれをなんて呼ぶのでしょうか?彼の基礎である柔術テイクダウンの範囲にあるもので、彼はそれを高レベルのアートにまで高めたのでしょうか、それともあれもまたMMAレスリングなのでしょうか?

私はそれをMMAレスリングとは呼ばないだろう、なぜならマイアのしていることはまさにレスリングでは反則だろうからだ。だがそれは私の最初のポイントに戻ってくる、何が反則か見つけ出してそれを使い始める、なぜならそれが反則にされたのはそれが最も効果的だから、というところにだ。マイアがやっていることは組み合わせであり、自分にとって、あれは私たちがバックヤード・レスリングと呼ぶものだ。彼はそこからひたすらに突き進み、うまくそれらを機能させているんだ。もちろん、彼はある程度のレスリングと柔道の要素も混ぜ込んでいた。

私はマイアによってその技術の犠牲になった。私は彼をフェンスに押しつけて、自分の好きなポジションに入った。彼は自分と交差するように足を運んで、自分を完全に宙に放り投げた。私はマットに激しく叩きつけられながら思った、「一体全体何が起こりやがったんだ!?」、そして「どうした?自分はどうやったんだ、あれは間違いなくいい動きだったはずだ。」

それは異なるやり口だった、そして君はダニエル・コーミエについて言及したが、彼は異なる階級にいる。彼が落としてくるまで待ちたまえ。彼がヘビー級を相手にできたいくつかのことは、ライトヘビー級では変化しているだろう、そしてダニエルは危機対応できるし美しいテクニックも実行できるだろう。もっとも最近ではいつでもというわけにはいかないがね。「1つのテクニックに、1つのスコア、良いレスリングで使うのは3つか4つ。」もし私がレスリングができる選手と戦っているなら、自分の最初の攻撃は通用しないだろう。もし自分の最初の攻撃が通用したなら、それは間違いなくレスリングが出来ない相手と戦っているということだ。

私はデューク・ルーファスには話したのですが、私たちがベン・アスクレンがより良いストライカーに転向する場合について話していたとき、私が彼の話からわかったことは、距離を取ってのジャブこそがベン・アスクレンにとって実用的であろう唯一のものだということです。だがグラウンドにおいては彼はまだ望みがありました。彼が持つ希望とは、彼は一度火がついたら相手をグラウンド&パウンドで痛めつけ始めるということです。彼が火種になった論争の一つに、距離を取って打つ打撃とグラウンド&パウンドではわずかに筋肉のグループが異なるのではないかというのがありました。そのコンセプトについて話し、加えてレスリングについて尋ねるならば、純粋なレスリングは競技者に対して、MMAとは運動的に異なったことを要求するのでしょうか?レスリングはわずかに停止よりも全力疾走のように見えますし、全力疾走をしては止まりという感じですが、実際はもし25分戦おうものなら、それはほとんど持久力トレーニングのようなものです。運動的には何が違っているのでしょうか?

私は運動的な違いがあるかは知らない、しかし間違いなく異なるアスリートだ。私はレスリングが本当に達者なアスリートを見てきた、ベン・アスクレンもそうだが、マラソン・スタイルのペースの選手は、あるペースからスタートして相手に対してノンストップでいる。それがアスクレンだろうとニック・ディアズだろうと、彼らは相手に対して同じペースでい続けるだろう。私はまた開始して全力疾走する選手も知っている、彼らはあるペースでスタートして、ズドン!だ。そして彼らは大爆発して彼らのポイントに到達し、最高潮に達し、そして今じゃ戻って休んでいる、という具合さ。彼らは全てを遅くして、相手が出てくるのを待って、ズドン!また大爆発という訳さ。

私はスポーツによってその違いが出るのだとは思わない。だがコーチのルーファスがベン・アスクレンについて言ったことには賛成させて頂きたい。彼が相手とグラウンドになったとき、脱出するのはとても難しい、そして彼は相手のバッテリーをあっという間に吸い取ってしまう。彼が手を相手に接触させた瞬間に、相手は疲れ始めてしまうのだ。そして彼は相手の上に乗り続け、窒息させ、そしてもう相手は絶対に距離を取ることはできない、自分の攻撃を始める自由は絶対に得られないのだ。

ベン・アスクレンは非常に効果的な動きをしている、だがそうだね、このスポーツではエキスパートである必要は無いんだ、あの男を見れば、ねえ、彼はまず確実に手をうまく働かせる必要がある、彼のキックボクシングもだ、もし彼がUFCのようなハイレベルの場所で競争しようというならね。

カイル・デイクとデイビッド・テイラーが最終的には恐らく165ポンドで試合することについて何か予想していることはありますか?

私には何の予想もないよ。私もその試合に興奮してるし、その試合はレスリングのためにも組まれるべき重大な試合だ。私は本当にその試合がなくならない事を祈っている。それというのも彼らの内の一人は短期間で試合をしなきゃいけないし、彼らは二人ともチャンピオンだからね。私は彼ら二人をとても尊敬しているんだ。試合がもう待ちきれないよ。君に一つ教えてあげよう、ルーク、実は私の予想はあるんだ。君と私はその試合を見逃さないだろうからね。

この対談の全体のテーマは、もし私があなたに尋ねるのなら、「何が素晴らしいMMAレスリングを作り上げるのか?」ということです、今、あなたは何と答えるでしょうか?

MMAレスリングを作り上げるだろうものとは、何が機能するかを理解するということだ。もし君がレスラーで君がMMAに転向しようとしている場合、その逆も然りだが、君はほとんど全てのものを投げ捨てる必要があるということを理解しなければいけない。まさにホジャーが言うとおり、「おいサブミッションはMMAじゃ機能しないぜ」、それから彼は先に進んで全員を極めるんだ。本当にホジャーが言おうとしていたことは、ほとんどのサブミッションは使えない、だがまだわずかに使えるものがある、ということだ。だから自分たちが使えそうなわずかな技が何かを分析しようぜ、そして毎日そいつを練習しよう、自分たちのその技の攻撃と極めがより良くなって、敵のその技へのディフェンスを上回れるようにさ、ってね。そしてそれが自分がレスリングについて言おうとしたことだよ。自分の修練がきつくなることを恐れてはいけない、先に進むのを恐れてはいけないんだ。

「なあこのレスリングってもんは本当に何の役にも立ちゃしねえな、だが相手を地面に引きずり倒せる要素が二つくらいはあるじゃねえか。」

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というわけでソネンさんが語るMMAレスリングの奥義でした。これはレスリングに限らず、MMAという競技の奥義であり、真髄と言ってもいいものではないでしょうか。もうこれからはソネンさんではなく、ソネン教授とお呼びしたほうがいいかもしれません。マジでMMA学という学問を起こせそうなほどの博識と慧眼だと思います。

アマチュアでの実績に対して、結果が伴わない選手というのは非常によく見かけます。しかしなぜそういういことが起こるのかを選手としてここまで理論的に説明できた人はこれまで見たことがありませんでした。その理由は「MMAとその他のコンバット・スポーツは似て非なるもの」だからです。レスリングの要素があるからといってそのままレスリングが使えるわけではないですし、それはボクシングも空手も全て同じことです。そこでは適切な変換作業が求められます。ただここを同一視する人は本当に多いと感じます。MMAは様々な格闘技の要素を組み合わせて構成されている全くの別競技、という視点は鑑賞に必須です。サッカーとフットサルとセパタクローと蹴鞠は共通で使える技術やフィジカルがあるが、全ては違うルールに基づく別の競技なのです。

そして自分が一番感心したのは、「他の競技では反則とされていることで、MMAでは合法な行為とは、すなわち最も効果的なものである」という指摘です。

ソネンさんはダーティ・ボクシングを例に挙げて、クリンチをして相手を殴りつけるのがボクシングで反則なのは、それが最高に効果的だからだ、としています。これは全くの同感です。ここで思い出されるのが、ライトヘビー級王者ジョン・ジョーンズとそのブレインであるグレッグ・ジャクソンの存在です。彼らがMMAで好成績を残してきた理由は、まさにこの点にあると自分は思っているからです。

代表的な例はジョーンズの関節蹴りとエルボーの多用でしょう。この二つは打撃系格闘技では禁止されている場合がほとんどの技です。エルボーはキックボクシングの一部で許可されているだけですし、関節蹴りにいたっては立ち技競技では全て禁止になっているほどの危険な技です。しかしUFCのルールはどこを見渡してもこれが禁止だとは一言も書いていません。つまりこれは合法な行為なのです。

アマチュア・スポーツの多くは、危険な技や、一方的に有利に運べてしまう技術などを反則とする傾向にあります。これは選手の安全性確保と、競技がより白熱し拮抗するための工夫でもあります。つまり有利で一方的ないわゆる「ハメ技」「壊し技」ほど、禁止される傾向にあるわけです。

ということは、各競技で早い段階で禁止になった技の中には、今のMMAに革命を起こすような技が眠っているのかもしれません。たとえば柔道の脇固めや河津掛けに蟹挟み、レスリングでの頭を使ったホールド、空手の関節蹴り、ボクシングでの肘や足へのローブローにクリンチ・パンチなど、現在でもすでに有効に使われている反則技は枚挙に暇がありません。そして自分はここにとてもロマンを感じます。いつか誰かが、まったく予想もしなかった競技から、予想もしなかった技術を持ち込んでMMA界に旋風を巻き起こすのでは、と色々と妄想してワクワクしてしまいます。

MMAの醍醐味はまさにここにあります。極めて限定的な状況下で競うスポーツの洗練された技術も面白いですが、それらはルールの枠を外すと大部分が使えなくなってしまうために、MMAでは「何がMMAで使えるのか」という創意工夫の比重が大きくなります。つまり工夫次第では、どんな強者も倒す秘策を編み出しうるわけです。この相手を倒すための試行錯誤こそ、自分が鑑賞したいポイントの一つでもあります。

そしてこの創意工夫こそ、他のスポーツからMMAに転向する際に必須の「変換作業」ということになります。自身の得意なものをMMAで活かそうというときに次々と使えないものを切り捨てていき、最後に残ったわずか数個の技術こそが自身に成功をもたらす最大の武器になるのだと思います。

MMAとは自分のやっていたスポーツの延長ではなく、自分の競技で反則となっていることも許される全く別のスポーツなのだ、この立場に立って初めて選手のキャリアはスタートするのだと思います。この視点を持たない選手が適応できずに消えていくのでしょう。

他にも言いたいことはありますが、ソネンさんが言ったことは全面的に同意です。ペース運びが違う選手は全く別種のアスリートだという指摘や、テイクダウンができるからといってレスリングが巧いわけではないということなど、自分が前から感じていたことをほぼすべて、極めてわかりやすく説明してもらえた感じです。またレスリングのスタイルによるMMAへの適応力の違いがその姿勢にあったというのは目から鱗の指摘でした。また「本当に偉大なる選手が使う技術はわずかしかない」というのは、格闘技に限らず全ての分野での真理であるということも経験的に理解していた自分にとって、再確認できたという意味でも非常に有益でした。

これからMMAに転向したいという方、今選手だという方にもこの話は非常に有益だと思いますので、是非参考にしてみてください。MMAファンの皆様は、この記事を読むことによってさらにMMAが楽しくなるのではないかと思います。そして皆でプロフェッサー・ソネンに敬意を評しましょう。素敵な講義をありがとう、プロフェッサー・ソネン! これからも岡見さんをよろしくお願いします!

1 件のコメント:

  1. 「他の競技では反則とされていることで、MMAでは合法な行為とは、すなわち最も効果的なものである」

    名言ですね。

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